自身の考えのクセ(スキーマ)を見直す

こんにちは。対人恐怖症カウンセラーのじゅんです。

あなたの「人生経験の中で組み立てられた考え方の集合体」をスキーマと呼びます。

難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うとあなた自身が作りあげた基本プログラムのようなものです。
毎日起こることすべてに対し、ゼロから分析・行動していては生きていくことはできません。
朝目が覚めて、太陽を見た時、「この明るいものは何だろうか?」と毎回考えるところからはじめていては生活が成り立たないですよね。
そのため、身の回りで「これについては、こう考える・こう行動する」といった基本方針のようなものがあなたの中に自動的につくられているのです。
問題は、そこに思い込みやネガティブな偏りがないかどうかということです。
例として、次の2つのスキーマを考えてみましょう。
①「雨が降っているので、外出すると濡れるから傘を持っていく」
②「私は見た目が可愛くないので、誰に話しかけても嫌な反応ばかりされるから人と話したくない」
①は、「雨が降っている」「外出すると濡れる」は誰にも当てはまる完全な事実です。だから、傘を持っていくのは正しい行動といえます。
しかし、②の「見た目が可愛くない」「話しかけると嫌な反応をされる」は事実でしょうか?
②には、自分の意見(主観といいます)が入っています。もっと言うとネガティブな思い込みの可能性が高いです。
次のような質問を自身に投げかけた時、思い込みが入っているかどうかがわかります。
●私のことを可愛いという人は本当にどこにもいないだろうか?
●実際に可愛くないとして、それと話しかけて嫌な反応をされるのは本当に関係しているのだろうか?
●私に対して本当に誰もが嫌な反応をするだろうか?
●過去にいやな反応をされたのは自分が可愛くないからではなくて単に相手の機嫌が悪かっただけではないだろうか?
ここまでの自問自答で次のような思い込みが自分にあるのかもしれないと気づくことができます。
●私は可愛くないと自分自身で思っている
●私は周りの人に嫌われているから、いつも嫌な扱いをされる人間だと思っている
実際のカウンセリングでは、ご本人の過去の話・現在の詳しい状況なども聞いていき、たとえば次のようなスキーマ形成までの流れがわかったりします。
「私は幼いころから、美人で性格も良い人気者の姉と比べられていた。
お姉ちゃんは明るくて美人なのにあの子はねえ…などの言葉を親から聞いたことがあり、自己評価が低いまま大人になってしまった。
自分に自信がないので声が暗く小さくなりがちで、誰かに話しかけたとき聞き返されることが多く、話すのがおっくうになってしまった。
最小限の会話で済まそうとするくせがついてしまい、説明不足で相手に迷惑をかけてしまうことがある。
最近はそのせいか同僚との仕事上のやりとりもなんとなくぎくしゃくしていて、話しかけても反応が良くない」
ここまでわかると、さきほどの「可愛くないから周りの反応が悪い」は、思い込みだったということがわかります。
このような自分自身の中にある考え方のネガティブな偏りが、人間関係に対する不安を生みます。
これが対人恐怖症発症のしくみ・原因のひとつです。
このようなスキーマを見直すということが、対人恐怖症の改善につながります。
スキーマの他の具体例については、また配信しようと考えています。
みなさん自身の対人関係の考え方を見直すきっかけになればうれしいです。